SEESAW SPECTACLES

2024/07/26 18:21


SEESAW SPECTACLESのオーナー石川明が、ゲストを迎えて対話を行う「SEESAW TALK

」。一般誌から、専門誌まで幅広く活躍する眼鏡ライターの伊藤美玲さんをお招きし、互いの印象から当店の感想、眼鏡選びのこだわりまで伺いました。



石川:僕が伊藤さんと初めてお会いしたのは、確か8年ほど前。眼鏡のメンテナンスブランド「emw / eyewear maintenance works」を立ち上げたばかりの頃に、展示会で立ち寄ってくれて


伊藤:そうでしたね。以前から伊豆にある眼鏡屋さんとしてお名前は知っていたのですが、新しくメンテナンス用のケア用品のブランドを始められると聞いて驚きました。当時は、昔ながらのそういった専用品はあれど、パッケージまでこだわったブランドというのはあまりなかったので。しかも大手メーカーからではなく、個人として新たに立ち上げられたというところで、とてもバイタリティのある方なんだなというのが第一印象でした。


石川:僕からみた伊藤さんは、フラットに眼鏡業界をみていらっしゃる方という印象です。こういった専門性の高いライターさんって、どうしてもプロダクトやブランドに対する偏愛や主観が強くなってしまうと思うのですが、そのなかでも視座を高く持っていらっしゃって、媒体も専門誌だけでなく一般誌から週刊誌まで携わり、ハウスブランドからセレクトショップ、SPAまで幅広く見ているんだなといつも驚かされています。


伊藤:ありがとうございます。


石川:それでいて、ご自身の眼鏡に対するコンプレックスや想いなども絡めて、主観的に発信してくれる。読者に向けて専門用語を少なくして、噛み砕きながら日常的な会話の続きのような感覚で読むことができるので響きやすく、多くの方に受け取りやすい伝え方が素敵だなと思っています。でも、それってすごく難しいことですよね?


伊藤:そうなんです。眼鏡は薬機法なども絡んでくるので、表現に関して制限も多いし、難しい。だからあくまで 個人の感想として言える範囲で一般の方にも分かりやすく伝えるということをいつも意識しています。

石川:眼鏡のレンズやサイズについての話は、なかなか他のライターさんもされていない印象があります。


伊藤:レンズの話などは特に難しいので、一般誌などはみんな触れてこなかったんですよね。でも、個人的に眼鏡の役割の大部分はレンズが担っていると思っていて、そこに誰も触れないのは良くないなと。主役はフレームだけじゃないし、レンズがハマらないと心地よいものにならない。似合う・似合わないということは大前提として、さらにレンズにも選択肢があることも知ってほしいという想いで、10年くらい前から意識的に発信するようになりました。


石川:反響はいかがですか?


伊藤:「Forbs JAPAN」や「文春オンライン」といった、一般の方に多く読まれる媒体では、意外とフレームの話よりもレンズの話の方が反応がいいですね。やっぱりみんな “見える” ことを重要視しているんだなと感じます。例えば、100 均の老眼鏡との違いといった記事のPV数がひときわ高かったり。ライターとして活動するようになって19年目になりますが、最初の10年と今では私自身の意識も変わってきています。


石川:やはり最初はフレームから入られたんですか?


伊藤:そうですね。ヨーロッパの眼鏡ブランドのフレームの可愛さに魅了されてこの業界に足を踏み入れたということもあり、デザイナーと会ってお話しできることがとにかく楽しかったし、いろんなデザインがあることをもっと皆さんに知ってもらいたいというのが当初のモチベーションだったように思います。


石川:そこからどのように意識が変化したのでしょうか?


伊藤:眼鏡の奥深さに触れていくうちに、誰もレンズについて書かないのであれば、私はそこをやっていこうと思うようになってきたんです。また、自分が子供を産んで、周りのお母さんたちをみていたら、眼鏡のためにわざわざ都心に出向いて、5万円とかする眼鏡を買うというのは一部の人だけなんだなということが分かってきて。そういった世の中の大半の方たちが読んでも楽しいものであったり、実用性を踏まえると、大衆に向けた切り口や取材も大切だし、ニーズを知ったうえで日本のブランドさんとかもみていかないと一般の感覚とずれてきちゃうんですよね。だから、あえて幅広く眼鏡について紹介しながら、レンズなど専門性の高い部分にも触れて発信していくということを続けています。


石川:眼鏡が好きだからこそ、その魅力を余すところなく多くの方に知ってもらいたいという強い意志のようなものを感じますね。

伊藤:それは昔からずっとあるかもしれません。実はうちの家族は大の眼鏡嫌いで。


石川:そうだったんですか!


伊藤:両親ともに目が悪いのに頑なにかけたがらないんです。父親なんて、高齢になった今でも四六時中ずっとコンタクトです。寝る直前までつけているくらい。私は小学5年生くらいから眼鏡をかけるようになったのですが、写真を撮るときは眼鏡を外しなさいと親から言われていて。当時の写真を見ると、背中の後ろに眼鏡を隠しているからいつも片手しか映っていないんです。そんな環境下で育ったこともあり、眼鏡はそんなに忌み嫌うものではないんだという啓蒙活動のような気持ちが軸にあるような気がしますね。自分の家族が一番手強いのですが……(笑)。



次回は、伊藤さんからみた「SEESAW SPECTACLES 」の感想を伺います。

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SEESAW TALK with Mirei Ito vol.1 メガネへの価値観
SEESAW TALK with Mirei Ito vol.2 SEESAW SPECTACLESの印象
SEESAW TALK with Mirei Ito vol.3 メガネの魅力と見えない価値

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プロフィール

伊藤美玲(いとう みれい)

「眼鏡で、きれいになる」をライフワークに、眼鏡の専門誌「MODE OPTIQUE」や「文春オンライン」、「Forbs JAPAN」、「CREA WEB」など幅広いWEBメディアを中心に記事やコラムを執筆している。

Instagram : @eyewear_note



文:市谷未希子

写真:猪原悠